今回は自己保持回路について紹介いたします。
- 自己保持回路とは自分で保持する回路
- 制御において必須の回路
- 一度押せば負荷が稼働し続けるシステムを作りたい時に使用しましょう
自己保持回路とは
自己保持回路とは、自分で保持する回路です。
そのまんまでなにも砕けていませんが、回路を自分で保持する事です。笑
自己保持回路は制御において必須になります。
わかりやすい例で言うと自己保持回路がなければ運転ボタンをずっと押し続けないと機械が稼働し続けません。
途中で疲れてボタンから手を離してしまえば機械は停まってしまいます。
そんな運転ボタンありませんよね。
普通、運転ボタンを一度押して離せば機械が稼働し続けてくれますよね。
それが自己保持回路です。それくらい当たり前に使用されています。
自己保持回路のイメージ
運転ボタン・停止ボタン・リレー・ランプを使用して説明します。
ランプは電磁弁など動作させたい負荷に置き換えて考えてみてください。
接点の開く・閉じるのお話
ここがスッと話が入ってこないと理解が大変になります。
私がその経験がありましたのでこちらの説明からさせていただきます。
【扉の開く・閉じる】と【接点の開く・閉じる】は考え方が異なります。
扉は日常生活において身近な存在の為、開く・閉じるは扉をイメージしてしまいますが、それですと接点の際は誤った解釈になってしまいます。
扉が開く=通過出来る
扉が閉じる=通過出来ない
これが普通の考え方ですよね。ですが接点ではこうなります。
接点が開く=通過出来ない
接点が閉じる=通過出来る
扉と接点では逆になります。
接点は可動橋をイメージしてもらうと理解しやすいと思います。
橋が開いてたら(上がってたら)通過出来ない、閉まっていたら(下がっていたら)通れる。
最初はごちゃまぜになってしまうと思いますが、慣れていきましょう!
それでは解説していきます。
非自己保持回路の場合
この様にリレーは使用せずに運転ボタン・停止ボタン・ランプが一直線につながっています。
黄色は電気が流れている状態です。
番号は、端子番号です。
運転ボタンは通常接点が開いている為、ここで電気は途絶えてしまっています。
運転ボタンを押し続ける【非自己保持回路】
運転ボタンを押し続ける事で接点が閉まる為、電気が通電するようになりランプが点灯します。
運転ボタンを離す【非自己保持回路】
運転ボタンを離すことで接点が開く為、電気が流れなくなりランプは消灯します。
つまり運転ボタンを押し続けている間はランプが点灯し、離してしまうと消灯してしまいます。
これでは先程いった通り、押し続けていないとランプが点灯しない為、とても不便な構造になってしまいます。
自己保持回路の場合
自己保持回路は以下の図になります。
リレーを使用する事で自己保持回路を作る事が出来ます。
運転ボタンを押し続ける【自己保持回路】
この回路で運転ボタンを押し続けます。
非自己保持回路と同様運転ボタンを押し続けていればランプは点灯します。
ここで非自己保持回路とは違う点はリレーがある事です。
自己保持の役割をしているのは「リレー接点1」です。
運転ボタンを押す事によってリレーのコイルに電気が流れます。
リレーのコイルに電気が流れる=接点が閉じる
なぜリレーのコイルに電気が流れると接点が閉じるの?という方はこちらの記事をご覧ください。
なのでコイルに電気が流れた瞬間「リレー接点1」と「リレー接点2」の接点は閉じます。
「リレー接点2」は閉じた事によりその先にあるランプにまで電気が行くようになる為点灯します。
「リレー接点1」も閉じましたがその先にある停止ボタンとリレーコイルは
運転ボタンを押した時点で電気は流れている為、なんの役割も果たしません。
次に押し続けていた運転ボタンを離します。
運転ボタンを離す【自己保持回路】
押し続けていた運転ボタンを離します。
すると運転ボタンの接点は開きます。
非自己保持回路では運転ボタンの接点が開いた場合は、電気が流れなくなる為ランプが消灯しました。
しかし自己保持回路は運転ボタンの接点が開いても先程なんの役割も果たしていなかった「リレー接点1」がリレーコイルまで電気が流れる様に閉じているのでランプは点灯し続けます。
接点が自分でコイルに電気を流している状態にする事が出来るんです。
これが自己保持回路の特徴となります!!
停止ボタンを押す【自己保持回路】
今度は停止ボタンを押します。
押す事によって停止ボタンの接点が開く為リレーコイルに電気がいかなくなります。
すると「リレー接点1」と「リレー接点2」の接点は開く為リレーコイルとランプには電気が流れなくなります。
機械を停止させる停止ボタンもこの様に電気を遮断しています。
まとめ
今回は自己保持回路について紹介いたしました。
最初は説明を聞いてもわかりませんでしたが、わかった瞬間このすごさがわかります。
普段何気なく押しているボタンもこの様な役割をしていると頭の片隅に入れておくと良いと思います。
私も自己保持回路を勉強して実際に配線し出来た時はとてもうれしかったのを覚えています。
なにか有接点シーケンスで製作する際には必ず必要な回路になる為、ぜひ覚えて実践してみてください。
実践を行ってみたい方はこちらの記事も参考にしてください。
では今日はこのあたりで。
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